第10位タイ英一蝶『吉野・龍田図屏風』
春の吉野と秋の龍田を六曲一双で描く英一蝶の大作。長く所在不明だった作品を京都国立博物館の調査で再発見。

なぜ国が買った?
京都国立博物館の年報は、本作が長らく所在不明だったところを研究員の調査で見出され、一蝶壮年期の数少ない作品を代表する大作だと説明しています。また同館は、京都に関わりが深く京都文化を後世に伝える重要作品として取得したとしています。「市場に出たから買った」のではなく、研究の過程で再発見した大作を公共コレクションへ戻した購入です。
根拠資料:国立文化財機構 令和3年度年報 ↗
なぜこの価格?
1億1,000万円の価格内訳は公開されていません。六曲一双という大画面、壮年期の稀少な大作、長く所在不明だった再発見作品であること、一蝶作品の中でも非常に高い質と評価されること、さらに徳川将軍家との関係を示す可能性がある来歴が価格を考える材料です。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
六曲一双の巨大な屏風に、春の吉野と秋の龍田を対にして描きます。普通の名所絵なら「吉野=桜」「龍田=紅葉」という記号的な表現で済ませがちですが、本作は金峯山寺蔵王堂や龍田大社、周辺の名所、参詣者、住民の生活まで描き込んでいます。徳川綱吉に献上された屏風に該当する可能性も指摘されており、単なる季節絵以上の来歴を持つ作品です。
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一枚の景色ではなく、左右一双を往復して見てください。春の吉野と秋の龍田が、桜と紅葉だけでなく建築・道・人間の営みまで含めて対比されています。8枚の公式画像があるのはむしろ好都合で、全景→各隻→細部と順番に見ると、名所図と風俗画が同時に成立していることが分かります。
作者について
英一蝶(1652–1724)は江戸中期に活躍した絵師です。狩野派で学びつつ、町の人々や風俗を生き生きと描き、俳諧など江戸の文化人ネットワークにも深く関わりました。本作は一蝶の壮年期を考えるうえで数少ない大作とされます。
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- 取得年度
- 2021年度
- 購入価格・取得額
- 1億1,000万円(¥110,000,000)
- 作者
- 英一蝶
- 作品名
- 吉野・龍田図屏風
- 所蔵先
- 京都国立博物館
- 取得主体
- 独立行政法人国立文化財機構
- 制作年
- 江戸時代・17世紀
- 技法・材質
- 紙本著色
- 寸法
- 各148.4×352.2 cm/6曲1双
- 出典
- 独立行政法人国立文化財機構「令和3年度 購入文化財情報」/京都国立博物館
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- 作品自体は著作権切れ。京都国立博物館掲載画像の利用条件を確認。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 国立美術館4館・国立文化財機構4館・文化庁の令和3年度購入公表を横断し、公表額または政府公共調達で契約額を確認できた作品を順位化。国立国際美術館のメル・ボックナー《セオリー・オブ・スカルプチャー(カウンティング)&プリマー》など、取得額が公表資料で「―」かつ契約額を確認できない作品は順位対象外。10位は同額2作品のため全11作品を掲載。