第9位ロバート・ゴーバー『無題』
人間の脚だけが異様なほどリアルに現れる。日本の美術館では初収蔵となったロバート・ゴーバーの代表的作例。

なぜ国が買った?
国立美術館の年報は、ゴーバー作品を作家の代表的な作例と位置づけ、しかも日本国内の美術館として初めての収蔵だったと説明しています。つまり日本の公的コレクションにぽっかり空いていた、1980~90年代アメリカ現代美術の重要作家を埋める購入です。今後の現代美術史展示でゴーバーを実物で語れるようになったこと自体が大きな意味を持ちます。
なぜこの価格?
契約価格は1億4,300万円。詳細な査定内訳は公表されていませんが、国際的に確立した作家の1992年の代表的作例であること、エディション4+APという供給の少なさ、日本の美術館では初収蔵となる作品だったことが価格を考える材料です。現代美術では材料費ではなく、作品の美術史的位置と市場に存在する点数の少なさが価格を大きく左右します。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
1992年の《無題》は、人間の脚の一部だけを異様なほど写実的に作った彫刻です。蜜蝋、木綿、皮、人毛などを使い、本物の身体に見えそうで見えない境界を作ります。エディション4点+APのうちのAPで、国立国際美術館の登録作品です。身体全体を見せず「切断された部分」だけを置くことで、展示室そのものを不穏な場所に変えます。
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「脚が上手に作ってある」で終わらず、なぜ全身ではなく脚だけなのかを考える作品です。蜜蝋の皮膚、人毛、衣服のような質感がリアルだからこそ、身体が途中で消えていることが怖くなる。作品そのものと、壁・床・鑑賞者の身体まで一緒に見てください。展示空間を巻き込んで初めて完成する彫刻です。
作者について
ロバート・ゴーバー(1954–)は、1980年代以降のアメリカ現代美術を代表する作家の一人です。洗面台、排水口、ベッド、人体の断片など、ごく日常的なものを手作業で精巧に作り直し、家庭、身体、宗教、性、記憶といった問題を静かな不気味さの中に持ち込みます。
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- 取得年度
- 2021年度
- 購入価格・取得額
- 1億4,300万円(¥143,000,000)
- 作者
- ロバート・ゴーバー
- 作品名
- 無題
- 所蔵先
- 国立国際美術館
- 取得主体
- 独立行政法人国立美術館
- 制作年
- 1992年
- 技法・材質
- 蜜蝋、木綿、皮、アルミニウムの留め具、人毛
- 寸法
- 15.0×45.0×15.0 cm
- 出典
- JETRO 政府公共調達データベース(独立行政法人国立美術館)
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- 作品著作権存続。国立国際美術館/権利者の画像利用条件を確認。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 国立美術館4館・国立文化財機構4館・文化庁の令和3年度購入公表を横断し、公表額または政府公共調達で契約額を確認できた作品を順位化。国立国際美術館のメル・ボックナー《セオリー・オブ・スカルプチャー(カウンティング)&プリマー》など、取得額が公表資料で「―」かつ契約額を確認できない作品は順位対象外。10位は同額2作品のため全11作品を掲載。