第7位作者不詳『絹本著色馬医草紙残闕』
中世の馬医療を絵と文字で伝える重要文化財の断簡。既知の1287年写本より精緻で、より古い図様を残す可能性がある。

なぜ国が買った?
文化庁の目的は、重要文化財などの散逸・海外流出を防ぎ、国有品として保存し公開することです。本断簡は重要文化財であるうえ、既知の《馬医草紙》写本より精緻で、より古い図様を伝える可能性があります。絵として美しいからだけではなく、「失われた原本や中世の知識体系を復元する証拠」を一枚増やす意味が大きい購入です。
なぜこの価格?
1億8,400万円という額の評価内訳は公表されていません。重要文化財指定、鎌倉時代の絵巻断簡という希少性、既知の東博本より古い可能性、図像と文字の双方が研究資料になることが価格を考える材料です。小さいから安い、大きいから高いという世界ではなく、情報の唯一性が価値を左右する典型です。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
《馬医草紙》は、伝説的な馬医、名馬、薬草などを絵入りで伝える秘伝書です。原本は失われていますが、1287年の奥書を持つ東京国立博物館本が知られています。本断簡はその第六図と同じ図様を示しながら、描写は東博本より精緻で、文化庁は図写年代が東博本よりやや古い可能性を指摘しています。わずか26.2×22.7cmの断片ですが、失われた原型へ近づく手掛かりなのです。
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人物の描写だけでなく、左側の文字を見てください。東博の巻子本との文字差から写本の成立過程まで考えられます。また、線がどれだけ細かく人物の顔や衣を描いているかを東博本と比較すると、この断簡が「小さな切れ端なのに高額」な理由が実感しやすくなります。
作者・制作背景について
作者は不詳です。鎌倉時代に作られた《馬医草紙》の断簡で、絵師の名前よりも「中世の馬医療に関する知識を絵と文字で伝えた資料」であることが重要です。絵画史だけでなく、獣医学史、馬事文化、写本文化をまたいで価値を持つ作品です。
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- 取得年度
- 2021年度
- 購入価格・取得額
- 1億8,400万円(¥184,000,000)
- 作者
- 作者不詳
- 作品名
- 絹本著色馬医草紙残闕
- 所蔵先
- 国(文化庁)
- 取得主体
- 文化庁
- 制作年
- 鎌倉時代
- 技法・材質
- 紙本著色(文化庁「購入文化財の概要」。購入一覧の契約件名は「絹本著色」)
- 寸法
- 縦26.2×横22.7 cm/1幅
- 出典
- 文化庁「令和3年度 文化庁購入文化財一覧」
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- 作品自体は著作権切れ。文化庁・文化遺産オンライン掲載画像の利用条件を確認。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 国立美術館4館・国立文化財機構4館・文化庁の令和3年度購入公表を横断し、公表額または政府公共調達で契約額を確認できた作品を順位化。国立国際美術館のメル・ボックナー《セオリー・オブ・スカルプチャー(カウンティング)&プリマー》など、取得額が公表資料で「―」かつ契約額を確認できない作品は順位対象外。10位は同額2作品のため全11作品を掲載。