第6位作者不詳『木造天王立像』
平安時代後期の大型天王像。シカゴ美術館の多聞天像と元来一具だった可能性がある、保存良好な木彫。

なぜ国が買った?
この作品は購入時点で未指定文化財でした。それでも文化庁が取得したこと自体がポイントです。文化庁は散逸・海外流出を防いで保存・公開するため文化財を購入しており、本像は12世紀の大型木彫として質と保存状態が良く、さらに海外にある酷似像との比較から、本来の仏像セットを復元的に考える研究価値があります。指定の有無だけでなく、将来に残すべき資料価値を見て買った例といえます。
なぜこの価格?
1億8,700万円の査定内訳は非公表です。価格を考える材料は、約900年前の大型木彫であること、138cmを超える規模、保存状態の良さ、平安後期の様式を明確に示すこと、そしてシカゴ美術館の像と元来一具だった可能性です。特に、同じセットの一部が海外に分かれている可能性は、研究上の希少性を高めます。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
像高138.2cm。図像上は増長天に相当すると考えられています。米国シカゴ美術館には作風・形式が酷似する多聞天像があり、もとは同じ四天王あるいは二天王セットの一体だった可能性があります。後世の彩色を含みますが、像そのものは平安時代の大型木彫で、文化庁は「保存良好な作例」と評価しています。
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「怖い顔かどうか」だけでなく、体の輪郭を見てください。肩から腰、脚へ続く線が意外なほどゆるやかで、激しいポーズを取らない。鎌倉彫刻の筋肉質な迫力とは違う、平安後期の静かな威厳があります。兜、甲冑、衣の彫り、後補の彩色も含め、どこまでが当初の造形でどこからが後世の手なのか想像しながら見ると面白くなります。
作者・制作背景について
作者名は伝わっていません。平安時代後期、12世紀前半から半ば頃の作とみられる木造の天王像です。兜と甲冑を身につけた神将の姿で、激しく怒るというより、穏やかな忿怒相と控えめな動きに平安後期らしい造形感覚が表れています。
基本データを見る
- 取得年度
- 2021年度
- 購入価格・取得額
- 1億8,700万円(¥187,000,000)
- 作者
- 作者不詳
- 作品名
- 木造天王立像
- 所蔵先
- 国(文化庁)
- 取得主体
- 文化庁
- 制作年
- 平安時代後期・12世紀前半〜半ば頃
- 技法・材質
- 木造、彩色(彩色は後補・鎌倉時代まで遡る)
- 寸法
- 像高138.2 cm
- 出典
- 文化庁「令和3年度 文化庁購入文化財一覧」
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- 作品自体は著作権切れ。文化遺産オンライン掲載画像の利用条件を確認。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 国立美術館4館・国立文化財機構4館・文化庁の令和3年度購入公表を横断し、公表額または政府公共調達で契約額を確認できた作品を順位化。国立国際美術館のメル・ボックナー《セオリー・オブ・スカルプチャー(カウンティング)&プリマー》など、取得額が公表資料で「―」かつ契約額を確認できない作品は順位対象外。10位は同額2作品のため全11作品を掲載。