第5位作者不詳『絹本著色浄土曼荼羅図(伝僧源信筆)』
13世紀にさかのぼる重要文化財の浄土曼荼羅。金彩よりも精緻な墨線で極楽浄土を組み立てた古例。

なぜ国が買った?
文化庁は文化財購入の目的を、貴重な文化財の散逸や海外流出を防ぎ、国が保存管理したうえで博物館等で広く公開するため、と説明しています。本作は明治期から重要文化財に指定され、13世紀までさかのぼる当麻曼荼羅の古例です。すでに重要性が公的に認められた作品を市場任せにせず、国有品として保存・公開できる状態にすること自体が購入の意味です。
なぜこの価格?
2億800万円の評価内訳は公開されていません。重要文化財であること、13世紀の仏画として古いこと、大画面の絹本作品がまとまった状態で伝わる希少性、当麻曼荼羅研究の基準になり得る資料性などが価格形成を考える材料です。文化財の場合、単純な人気作家の相場ではなく「代替できない歴史資料としての希少性」が価格に大きく関わります。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
浄土曼荼羅は、阿弥陀如来のいる極楽浄土を一枚の画面に可視化したものです。本作は奈良・當麻寺の国宝《綴織当麻曼荼羅図》をもとに広まった当麻曼荼羅系統の一例ですが、金彩が非常に少なく、細密で確かな墨線を中心に描いている点が特徴です。中央の阿弥陀の顔つきにも、柔和一辺倒ではない鎌倉仏画らしい力強さがあります。
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金色の豪華さを探すより、まず線を見てください。文化庁が特徴として挙げるのも、金彩の少なさと緻密な墨線です。中央の阿弥陀、周囲の建築や人物を順に追うと、巨大な宗教世界を細い線の秩序で組み立てていることが分かります。画面全体→中央→周辺の順で見ると理解しやすい作品です。
作者・制作背景について
作者は確定していません。「伝僧源信筆」という伝承名が付いていますが、実際に平安時代の僧・源信が描いたと断定されているわけではありません。作品そのものは鎌倉時代、13世紀にさかのぼる浄土曼荼羅の古例として評価されています。
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- 取得年度
- 2021年度
- 購入価格・取得額
- 2億800万円(¥208,000,000)
- 作者
- 作者不詳
- 作品名
- 絹本著色浄土曼荼羅図(伝僧源信筆)
- 所蔵先
- 国(文化庁)
- 取得主体
- 文化庁
- 制作年
- 鎌倉時代・13世紀
- 技法・材質
- 絹本著色
- 寸法
- 縦85.1×横114.5 cm/1幅(1面)
- 出典
- 文化庁「令和3年度 文化庁購入文化財一覧」
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- 作品自体は著作権切れ。文化庁掲載画像・資料の利用条件を確認。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 国立美術館4館・国立文化財機構4館・文化庁の令和3年度購入公表を横断し、公表額または政府公共調達で契約額を確認できた作品を順位化。国立国際美術館のメル・ボックナー《セオリー・オブ・スカルプチャー(カウンティング)&プリマー》など、取得額が公表資料で「―」かつ契約額を確認できない作品は順位対象外。10位は同額2作品のため全11作品を掲載。