第4位速水御舟『渓泉二図』
二幅で一作品。渓流と岩を細かな点と線の集積で描き、大正日本画の細密表現を象徴する速水御舟の1921年作。


なぜ国が買った?
東京国立近代美術館は、本作が「大正時代の日本画における細密描写の傾向をよく示す」ため展示活用が期待できると説明しています。つまり御舟個人の名品というだけでなく、大正期の日本画が伝統から近代へ変わる過程を実物で説明できる資料として重要なのです。国立館が買う理由は、作家名の格より「日本美術史のある局面をこの二幅で語れる」点にあります。
なぜこの価格?
2億3,760万円の査定内訳は公表されていません。ただし、御舟は近代日本画の重要作家で、本作は院展出品歴を持つ1921年の双幅です。二幅が揃った状態で伝わること、御舟の細密描写期を説明できる美術史的位置、国立館が展示上の重要性を明言していることが価格を考える主要な材料になります。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
《渓泉二図》は1921年、第8回再興院展に出品された双幅です。二枚で一作品なので、片方だけを見るより並べた状態で見ることが重要です。渓流、岩、木々を、点や短い線を積み重ねるような細密描写で捉え、水が流れる一瞬を静止画の中に封じ込めています。
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二幅をまず同時に見て、水がどこからどこへ流れているように感じるか追ってください。その後、岩肌や木の葉、水しぶきに近づくと、細かな点と線の集積が見えてきます。「写真のように細かい」のではなく、細部を積み上げることで自然の密度そのものを作ろうとしている点が面白いところです。
作者について
速水御舟(1894–1935)は、大正から昭和初期の日本画を大きく更新した画家です。伝統的な日本画の材料を使いながら、西洋絵画や写生の感覚も貪欲に吸収し、対象を異様なほど細かく見つめる作品から大胆な装飾表現まで短い生涯で作風を変化させました。
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- 取得年度
- 2021年度
- 購入価格・取得額
- 2億3,760万円(¥237,600,000)
- 作者
- 速水御舟
- 作品名
- 渓泉二図
- 所蔵先
- 東京国立近代美術館
- 取得主体
- 独立行政法人国立美術館
- 制作年
- 1921年
- 技法・材質
- 紙本彩色・軸(双幅)
- 寸法
- 各50.8×45.3 cm
- 出典
- 独立行政法人国立美術館「令和3年度 美術作品購入一覧」/東京国立近代美術館
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
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- 画像利用条件
- 作品自体は著作権切れ。国立美術館所蔵作品検索の画像利用規約を確認。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 国立美術館4館・国立文化財機構4館・文化庁の令和3年度購入公表を横断し、公表額または政府公共調達で契約額を確認できた作品を順位化。国立国際美術館のメル・ボックナー《セオリー・オブ・スカルプチャー(カウンティング)&プリマー》など、取得額が公表資料で「―」かつ契約額を確認できない作品は順位対象外。10位は同額2作品のため全11作品を掲載。