第2位アクセリ・ガッレン=カッレラ『ケイテレ湖』
湖面の銀色の帯が、写実の風景をほとんど抽象画のように変える。フィンランド近代絵画の代表作。

なぜ国が買った?
国立西洋美術館は、近年国際評価が高まる北欧絵画の代表作として本作を位置づけています。すでに所蔵するデンマークのハンマースホイと組み合わせることで、それまでフランス中心に見えやすかった近代西洋美術史を北欧へ広げることができる。つまり「有名画家を買った」というより、日本で西洋近代美術を通史的に見せるコレクションの穴を埋める購入です。
なぜこの価格?
4億7,209万円の査定内訳は公表されていません。ただ、同構図が4点しか知られない代表作であること、ガッレン=カッレラの国際評価が上昇していること、ノーベル家が画家本人から直接購入した明確な来歴、そして同型作品がロンドン・ナショナル・ギャラリー級のコレクションに入っていることは、価格を考えるうえで非常に強い条件です。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
1904年夏にケイテレ湖畔から見た景色をもとに、1906年に描かれました。湖面を横切るジグザグ状の帯は単なる水面の反射ではなく、『カレワラ』の英雄ヴァイナモイネンの船の航跡を暗示するともいわれます。同じ構図の作品は4ヴァージョンが知られ、ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵作もその一つです。本作は1909年にノーベル家が画家本人から購入し、その家系で受け継がれてきました。
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最初は「静かな湖」に見えますが、湖面を横切る白銀色の帯を追うと急に画面が抽象的に見えてきます。水平に広がる水面、垂直に落ちる反射、中央の島という幾何学的な骨格があり、写実風景と装飾的パターンが同居しています。遠くから一枚の風景として見たあと、湖面だけを切り取って見ると印象が大きく変わります。
作者について
アクセリ・ガッレン=カッレラ(1865–1931)は、フィンランド近代美術を代表する画家です。民族叙事詩『カレワラ』や自国の自然を題材にし、ロシア支配下にあったフィンランドで「自分たちの国とは何か」というイメージ形成にも大きな役割を果たしました。作曲家シベリウスと同時代の、フィンランド文化を象徴する存在です。
基本データを見る
- 取得年度
- 2021年度
- 購入価格・取得額
- 4億7,209万円(¥472,090,000)
- 作者
- アクセリ・ガッレン=カッレラ
- 作品名
- ケイテレ湖
- 所蔵先
- 国立西洋美術館
- 取得主体
- 独立行政法人国立美術館
- 制作年
- 1906年
- 技法・材質
- 油彩・カンヴァス
- 寸法
- 61.0×76.2 cm
- 出典
- 独立行政法人国立美術館「令和3年度 美術作品購入一覧」/国立西洋美術館
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- 作品自体は著作権切れ。国立西洋美術館掲載画像の利用条件を確認。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 国立美術館4館・国立文化財機構4館・文化庁の令和3年度購入公表を横断し、公表額または政府公共調達で契約額を確認できた作品を順位化。国立国際美術館のメル・ボックナー《セオリー・オブ・スカルプチャー(カウンティング)&プリマー》など、取得額が公表資料で「―」かつ契約額を確認できない作品は順位対象外。10位は同額2作品のため全11作品を掲載。