第5位タイ岸田劉生『舞妓図(舞妓里代之像)』
京都・南禅寺期の岸田劉生を代表する油彩。京都国立近代美術館が取得した劉生29作品群の中でも、公式資料が「欠かすことのできない代表作」と位置づける。

なぜ国が買った?
京都国立近代美術館は令和2年度、森村義行・松方三郎兄弟旧蔵の岸田劉生29作品を一括して購入しました。初期から晩年までを網羅し、既存作品と寄贈13点を合わせて約50点の劉生コレクションを形成する大型収集です。本作はその中でも京都時代を代表し、劉生が西洋的写実から東洋美術の美意識へどう移ったかを示す核。つまり「舞妓の絵を2億で買った」のではなく、近代日本洋画の重要作家の全生涯を一館で見せるための決定的な一枚です。
なぜこの価格?
個別取得額は2億円。29点全体の購入額とは別に、公式購入一覧が作品ごとの取得額を示しています。査定内訳は非公表ですが、京都期の油彩が少ないこと、美術館が代表作と明記すること、1927年の第1回大調和美術展への出品歴、森村義行旧蔵という明確な来歴、そして劉生コレクションの中心を担う役割が価格を考える材料です。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
《舞妓図(舞妓里代之像)》は1926年、京都・南禅寺付近に暮らしていた時期の小さな油彩です。舞妓を題材にしながら、華やかな観光的美人画にはしていません。顔や身体には重さと少し異様な存在感があり、油彩という西洋の技法の中へ、宋元画、初期浮世絵、祇園文化への関心が入り込んでいます。京都国立近代美術館は、この時期に油彩は多くなく、本作を欠かすことのできない代表作と説明しています。
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「舞妓=きれい」という先入観を一度外してください。顔、肩、着物の量感に、少し重く不気味なくらいの存在感があります。そこが劉生のいう「でろり」に近い面白さです。小画面なのに人物が画面を強く占め、華やかな衣装より肉体の重さが先に来る。その違和感を味わうと、普通の美人画ではない理由が分かります。
作者について
岸田劉生(1891–1929)は、大正期の日本洋画を代表する画家です。草土社を組織して対象を執拗に観察する写実を追求したのち、娘・麗子の肖像や静物、さらに宋元画や初期浮世絵など東洋美術へ関心を広げました。京都時代には、整った美しさよりも、少し生々しく奇妙な「卑近美」「でろり」と呼ばれる感覚を強く打ち出します。
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- 取得年度
- 2020年度
- 購入価格・取得額
- 2億円(¥200,000,000)
- 作者
- 岸田劉生
- 作品名
- 舞妓図(舞妓里代之像)
- 所蔵先
- 京都国立近代美術館
- 取得主体
- 独立行政法人国立美術館
- 制作年
- 1926年
- 技法・材質
- 油彩・板
- 寸法
- 27.0×21.7 cm
- 出典
- 独立行政法人国立美術館「令和2年度 美術作品購入一覧」/京都国立近代美術館
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- 作品自体の著作権保護期間は満了。国立美術館所蔵作品検索の画像利用条件を確認し、掲載元にクレジット指定がある場合は画像直下にその表記を掲載。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立文化財機構4館、文化庁の令和2年度購入公表を横断して順位化。京都国立近代美術館が一括取得した岸田劉生29作品は、公式購入一覧に個別取得額が公表されているため作品単位で集計。取得額が「―」で公開資料から金額を確認できない作品は順位対象外。5位タイ2作品、9位タイ3作品のため、10位までの順位に該当する全11作品を掲載。