第4位作者不詳『絹本著色如意輪観音像』
平安後期仏画の優雅な造形と截金文様を伝える作品。文化庁は「わが国における現存最古の独尊の如意輪観音彩色画像」と評価している。

なぜ国が買った?
文化庁は本作を「わが国における現存最古の独尊の如意輪観音彩色画像」と評価しています。購入時は未指定文化財でしたが、指定の有無とは別に、ある図像の最古の基準作になり得る作品は研究上代替できません。文化財を散逸から守り、国有品として保存・公開する文化庁の購入目的に非常に合う例です。「有名な国宝だから買った」のではなく、まだ指定されていなくても歴史上の基準点になる作品だから確保した、と見るべきです。
なぜこの価格?
購入額は2億8,600万円。査定内訳は非公表です。平安時代の彩色仏画そのものの残存数が限られ、さらに独尊の如意輪観音彩色像として現存最古と評価されること、約90cmの画面に当初の造形と截金文様が残ることが価格を考える主要因です。状態の傷みはあっても、同じ「最古」を新たに作ることはできません。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
一面六臂、つまり一つの顔と六本の腕を持つ如意輪観音が、海中の岩座で片膝を立てて座ります。縦92.6cm、横43.5cm。花を盛った器が供えられる図像は如意輪観音像として珍しく、絵具の退色や絹の欠損がありながら、ふっくらした体つきと截金による細かな装飾に平安後期仏画の優雅さが残っています。
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最初に六本の腕の配置を追い、その後に顔と体の柔らかな輪郭を見てください。激しい密教像というより、ゆったり座る優雅さがあります。次に衣や装身具の金色の細線を探すと、退色した画面の中に截金の細密さが浮かびます。最後に足元の花を盛った器を見る。文化庁が「珍しい」と指摘する図像上の特徴です。
作者・制作背景について
作者名は伝わっていません。平安時代の仏画は、現代の絵画のように個人作家名を前面に出すものではなく、寺院や貴族の信仰のために工房的な制作環境で生み出されました。本作も「誰が描いたか」より、平安後期の仏教美術がどのような姿で現代まで残ったかが重要です。
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- 取得年度
- 2020年度
- 購入価格・取得額
- 2億8,600万円(¥286,000,000)
- 作者
- 作者不詳
- 作品名
- 絹本著色如意輪観音像
- 所蔵先
- 国(文化庁)
- 取得主体
- 文化庁
- 制作年
- 平安時代
- 技法・材質
- 絹本著色・1幅
- 寸法
- 縦92.6×横43.5 cm
- 出典
- 文化庁「令和2年度 文化庁購入文化財一覧」
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- 作品自体は著作権保護期間満了。文化庁公表資料の掲載条件を確認し、撮影・提供等のクレジット指定がある場合は画像直下に表記。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立文化財機構4館、文化庁の令和2年度購入公表を横断して順位化。京都国立近代美術館が一括取得した岸田劉生29作品は、公式購入一覧に個別取得額が公表されているため作品単位で集計。取得額が「―」で公開資料から金額を確認できない作品は順位対象外。5位タイ2作品、9位タイ3作品のため、10位までの順位に該当する全11作品を掲載。