第2位ヨーゼフ・ボイス『小さな発電所』
銅の箱とフェルトから「エネルギーの生成と循環」を考えさせる彫刻。国立国際美術館が戦後国際美術の核として特別予算で取得。

なぜ国が買った?
国立国際美術館は1945年以降の国内外の美術を重点的に収集しており、公式購入資料はボイスを世界的な現代美術家として令和2年度購入の中心に挙げています。さらに本作はボイスに近い関係者が長く所蔵してきた作品で、「重要な一点として位置づけられる」と明記されています。戦後美術を語るうえで避けて通れないボイスの思想を、代表的な素材と構造を持つ作品でコレクションの核に据えるための取得です。
なぜこの価格?
取得額は5億2,844万7,200円。価格査定の内訳は非公表です。ボイスという戦後美術史上の位置、1984年という晩年の重要期、作家に近い人物から伝わった来歴、そして作品が彼の「エネルギー」「社会彫刻」の考えを端的に示すことが価格を考える条件になります。銅やフェルトの原価では説明できません。現代美術の価格は、作品が美術史のどの位置を占め、同等の作品が市場に何点あるかで大きく変わります。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
《小さな発電所》は、三つの銅の箱を鉄線で結び、その一つにフェルトを差し込んだ1984年の作品です。発電機らしい機械部品はありません。それでも銅は電気を伝える物質、フェルトは絶縁し熱を蓄える物質です。ボイスはその物質の性格を組み合わせ、「エネルギーが生まれ、蓄えられ、循環する」状態を彫刻として想像させます。作品の見た目より、見えない働きを考える彫刻です。
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箱の形だけを見ると地味です。そこで「銅=電気を通す」「フェルト=熱を蓄え、絶縁する」と考えて見てください。すると三つの箱をつなぐ線が配線に見え、彫刻全体が見えないエネルギーの回路へ変わります。またNMAOサーチの代表画像には「撮影:福永一夫」と明記されています。その画像を使う場合は、作品画像直下にも同じクレジットを入れます。
作者について
ヨーゼフ・ボイス(1921–1986)は、戦後ドイツ美術を代表する作家です。フェルト、脂肪、銅、鉄といった素材を単なる造形材料ではなく「熱を蓄える」「電気を通す」といった性質や社会的な意味まで含めて使いました。さらに芸術を美術館の中だけに閉じず、教育、政治、社会の変化まで含む「社会彫刻」という考えへ広げたことで、20世紀後半の現代美術に巨大な影響を残しました。
基本データを見る
- 取得年度
- 2020年度
- 購入価格・取得額
- 5億2,844万7,200円(¥528,447,200)
- 作者
- ヨーゼフ・ボイス
- 作品名
- 小さな発電所
- 所蔵先
- 国立国際美術館
- 取得主体
- 独立行政法人国立美術館
- 制作年
- 1984年
- 技法・材質
- 銅、鉄、フェルト
- 寸法
- サイズ可変
- 出典
- 独立行政法人国立美術館「令和2年度 美術作品購入一覧」/国立国際美術館
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- 作品には著作権が存続。NMAOサーチ代表画像には「撮影:福永一夫」の表記があるため、その画像を使用する場合は画像直下に同表記。別画像は掲載元の指定を個別確認。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立文化財機構4館、文化庁の令和2年度購入公表を横断して順位化。京都国立近代美術館が一括取得した岸田劉生29作品は、公式購入一覧に個別取得額が公表されているため作品単位で集計。取得額が「―」で公開資料から金額を確認できない作品は順位対象外。5位タイ2作品、9位タイ3作品のため、10位までの順位に該当する全11作品を掲載。