第1位ピエール・ボナール『プロヴァンス風景』
ボナール晩年へ向かう1930年代の風景画。東京国立近代美術館は、日本美術に影響を与えた海外作家を補強する収集方針の中で取得した。

なぜ国が買った?
東京国立近代美術館は、令和2年度の重点収集方針の一つとして「日本の美術に影響を与えた海外作家」を掲げ、その具体例としてボナールを取得したと明記しています。つまり「フランスの有名画家だから」ではなく、日本近代美術を国際的な流れの中で見せるために欠けていた重要なピースを埋める購入です。1930年代以降のボナールの風景画が後世の現代絵画へ及ぼした影響を、実物で説明できるようになったことが核心です。
なぜこの価格?
取得額は7億7,755万8,650円。価格査定の内訳は公表されていません。ただ、ボナールは国際的な近代絵画の主要作家で、本作は76×113cmのまとまったサイズを持つ1930年代の油彩です。美術館が再評価の進む時期の特徴をよく示す作品と位置づけていること、国際市場で美術館級の成熟期作品を確保する希少性が、価格を考える大きな材料になります。材料費が高いのではなく「同じ条件のボナールを代わりに買えるか」が価格の本質です。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
1932年の《プロヴァンス風景》は、南仏の景色を描いた横長の油彩です。木々、建物、空、地面がきっちり輪郭線で分かれるのではなく、小さな色の粒や面が画面全体に散り、遠近が少し溶けるように見えます。美術館自身が「きらめく色彩が散りばめられた」と説明する通り、景色を説明する絵というより、色そのものが光を作る絵です。
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遠くから「南仏の風景」として一度見たあと、近づいて木や空の境界を見てください。輪郭より先に、黄、橙、緑、青の小さな色面が目に入ります。次に前景と遠景を比べると、普通の遠近法ほど奥へ引っ込まず、画面全体が一枚の色の布のように迫ってくる。この「風景なのに抽象画のようにも見える」瞬間が見どころです。
作者について
ピエール・ボナール(1867–1947)はフランス近代絵画の重要作家です。ナビ派の一員として出発しながら、後年は流派の枠を越え、室内や庭、南仏の風景を「目の前の再現」ではなく、記憶の中で色が増幅されたような画面へ変えていきました。東京国立近代美術館の購入資料も、1930年代以降の風景画が現代絵画へ与えた影響に注目しています。
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- 取得年度
- 2020年度
- 購入価格・取得額
- 7億7,755万8,650円(¥777,558,650)
- 作者
- ピエール・ボナール
- 作品名
- プロヴァンス風景
- 所蔵先
- 東京国立近代美術館
- 取得主体
- 独立行政法人国立美術館
- 制作年
- 1932年
- 技法・材質
- 油彩・キャンバス
- 寸法
- 76.0×113.0 cm
- 出典
- 独立行政法人国立美術館「令和2年度 美術作品購入一覧」/東京国立近代美術館
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- 作品自体の著作権保護期間は満了。国立美術館所蔵作品検索の画像利用条件を確認し、掲載元にクレジット指定がある場合は画像直下にその表記を掲載。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立文化財機構4館、文化庁の令和2年度購入公表を横断して順位化。京都国立近代美術館が一括取得した岸田劉生29作品は、公式購入一覧に個別取得額が公表されているため作品単位で集計。取得額が「―」で公開資料から金額を確認できない作品は順位対象外。5位タイ2作品、9位タイ3作品のため、10位までの順位に該当する全11作品を掲載。