第9位作者不詳『重要文化財《法華経巻第五(冊子)》』
北宋舶来とみられる華麗な料紙に法華経巻第五を書写した重要文化財。宮廷風俗や女性を描く下絵6図を含み、現存最古級の世俗画資料としても重要。

なぜ国が買った?
これは単なる古写経ではありません。平安貴族の法華経信仰、北宋との文物交流、装飾料紙の高度な技術、さらに初期大和絵につながる世俗人物表現を一冊で示せる重要文化財です。京都国立博物館が取得することで、信仰史・書跡史・絵画史を横断する基準資料を公的に保存・研究・公開できます。
なぜこの価格?
取得額は1億円。価格査定の内訳は公表されていません。重要文化財指定、11~12世紀までさかのぼる年代、北宋舶来とみられる装飾料紙、現存最古級と評価される世俗画の下絵、1帖としてまとまって伝わる希少性が高額評価を考える材料です。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
《法華経巻第五(冊子)》は『法華経』巻第五を華麗な料紙に書写した1帖です。縹・黄・白などの地に唐草文や花菱文を雲母摺りし、宮廷風俗や女性を描く下絵6図を含みます。e国宝は、人物表現が「源氏物語絵巻」などより古様で、我が国の世俗画として現存最古級の資料と説明しています。
ここを見る
まず文字ではなく料紙そのものを見てください。淡い色地、雲母摺りの文様、その下に潜む宮廷人物の絵が重なっています。次に経文と下絵の関係を見ると、「読む宗教文書」と「見る絵画」が同じページに共存していることが分かります。小さな18.1×11.2cmの冊子に、平安宮廷文化が凝縮されています。
作者・制作背景について
作者名は伝わっていません。重要なのは、平安時代11~12世紀にさかのぼる装飾経そのものです。書写のための料紙には北宋舶来と考えられる唐紙が使われ、経典・絵画・工芸が一体になっています。
基本データを見る
- 取得年度
- 2019年度
- 購入価格・取得額
- 1億円(¥100,000,000)
- 作者
- 作者不詳
- 作品名
- 重要文化財《法華経巻第五(冊子)》
- 所蔵先
- 京都国立博物館
- 取得主体
- 独立行政法人国立文化財機構
- 制作年
- 平安時代・11~12世紀
- 技法・材質
- 彩牋著色墨書
- 寸法
- 18.1×11.2 cm(1帖)
- 出典
- 独立行政法人国立文化財機構「令和元年度 購入文化財情報」/京都国立博物館
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- e国宝・京都国立博物館の画像利用条件を確認。e国宝では作品画像の保存・IIIF Manifestを提供。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 文化庁、独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立文化財機構4館の令和元年度取得資料を横断し、政府調達・契約公示も追加確認。個別円建て取得額を一次資料で確定できた案件を順位化。国立美術館の令和元年度取得のうち、エルズワース・ケリー《斜めの黒いレリーフ》、ピピロッティ・リスト《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に》、《福禄封候図飾棚》は取得を確認済みだが個別円契約額を現行一次資料で確定できないため順位対象外。クリスチャン・ボルタンスキー《モニュメント》は政府調達集計に契約記録まで追跡したが、外貨表記を含む契約価格欄の解釈を円額として断定せず順位対象外とした。未確認額は推測しない。京都国立博物館《法華経巻第五(冊子)》1億円を反映済み。