第2位鏑木清方『《築地明石町》《新富町》《浜町河岸》三点一括』
長く所在不明だった《築地明石町》と対になる《新富町》《浜町河岸》を含む三点を一括取得。清方の代表作群を公的コレクションに戻した大型取得。
なぜ国が買った?
最大の理由は、近代日本画史の教科書級作品が三点まとまって再発見されたことです。国立美術館の自己評価書でも、《築地明石町》は清方の代表作で、40年以上行方が分からなかったものを多年の調査と交渉で収蔵したと説明しています。海外流出や再散逸を防ぎ、三点をセットで恒久的に公開・研究できるようにする取得でした。
なぜこの価格?
三点一括で5億4,000万円です。個々の価格配分は公表されていないため、三作品を勝手に1億8,000万円ずつとは扱いません。帝国美術院賞受賞作を含む代表作群、40年以上所在不明だった希少性、三点がまとまった状態で取得できる機会、近代日本画史上の知名度と資料価値が価格を考える中心になります。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
《築地明石町》《新富町》《浜町河岸》は、1927年と1930年に描かれた三点で、近代東京の女性像を異なる場所と季節感の中で描きます。《築地明石町》は帝国美術院賞を受賞した清方の代表作で、三点は長く所在不明でしたが再発見され、2019年度に一括取得されました。
ここを見る
三点を別々に見るより、人物の立ち姿、背景の余白、着物の色、季節感を往復して見てください。《築地明石町》では後ろ姿に近い女性と風の気配、《新富町》《浜町河岸》では町の空気と女性の存在感が微妙に変わります。「美人を描いた絵」ではなく、消えゆく東京の場所と時間を人物で記録した三部作として見ると面白くなります。
作者について
鏑木清方(1878–1972)は、明治から昭和にかけて活躍した日本画家です。美人画で知られますが、本人は市井の人々や東京の暮らしを描く「市民生活の画家」という意識を強く持っていました。新聞・雑誌の挿絵から出発し、近代都市の空気を日本画へ持ち込んだ作家です。
基本データを見る
- 取得年度
- 2019年度
- 購入価格・取得額
- 5億4,000万円(¥540,000,000)
- 作者
- 鏑木清方
- 作品名
- 《築地明石町》《新富町》《浜町河岸》三点一括
- 所蔵先
- 東京国立近代美術館
- 取得主体
- 独立行政法人国立美術館
- 制作年
- 1927年・1930年・1930年
- 技法・材質
- 彩色・絹本・軸(三点)
- 寸法
- 三点
- 出典
- 独立行政法人国立美術館「令和元年度業務実績報告書」/東京国立近代美術館
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- 作品著作権・画像利用条件を確認。三作品の画像は各所蔵情報と突合して掲載。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 文化庁、独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立文化財機構4館の令和元年度取得資料を横断し、政府調達・契約公示も追加確認。個別円建て取得額を一次資料で確定できた案件を順位化。国立美術館の令和元年度取得のうち、エルズワース・ケリー《斜めの黒いレリーフ》、ピピロッティ・リスト《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に》、《福禄封候図飾棚》は取得を確認済みだが個別円契約額を現行一次資料で確定できないため順位対象外。クリスチャン・ボルタンスキー《モニュメント》は政府調達集計に契約記録まで追跡したが、外貨表記を含む契約価格欄の解釈を円額として断定せず順位対象外とした。未確認額は推測しない。京都国立博物館《法華経巻第五(冊子)》1億円を反映済み。


