第1位フランシスコ・デ・スルバラン『聖ドミニクス』
17世紀スペイン絵画を代表するスルバラン初期の重要作。約100年ぶりに所在と真筆性が確認された来歴をもつ。

なぜ国が買った?
国立西洋美術館にとって、スペイン黄金世紀を代表するスルバランの本格的な絵画を公的コレクションに加える意味が大きい取得です。同館は15~20世紀の西洋美術を体系的に収集しており、本作によって17世紀スペイン絵画という重要な空白を埋められます。長く所在が明確でなかった作品が再確認されたという来歴も、研究・公開の価値を高めています。
なぜこの価格?
取得額は6億3,838万3,300円。査定の内訳は公表されていませんが、スルバランという国際的に重要な巨匠の大型真筆であること、1620年代という初期の重要時期、宗教施設のために制作された歴史的来歴、同等作が市場に現れる機会の少なさが価格を考える材料になります。材料費ではなく「代替できない美術史上の位置」に値段が付く典型です。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
《聖ドミニクス》は1626–27年頃、スルバランがセビーリャのサン・パブロ・エル・レアル修道院のために制作した初期の大作群に関係する作品です。等身大を超える聖人が暗い背景から浮かび、白と黒の修道服、顔、手、書物へ視線が集中する構成です。
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まず白い修道服を見てください。白一色ではなく、光の当たり方だけで厚みと重量感が作られています。次に顔と手へ視線を移すと、劇的な身振りを避けながら強い存在感を出していることが分かります。暗い背景・白衣・肌の三つだけで人物を巨大に見せる構成が見どころです。
作者について
フランシスコ・デ・スルバラン(1598–1664)は、17世紀スペイン・バロックを代表する画家です。強い明暗、彫刻のような人物像、布や器物の静かな質感表現で知られ、とりわけ修道院や教会のための宗教画で高く評価されています。
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- 取得年度
- 2019年度
- 購入価格・取得額
- 6億3,838万3,300円(¥638,383,300)
- 作者
- フランシスコ・デ・スルバラン
- 作品名
- 聖ドミニクス
- 所蔵先
- 国立西洋美術館
- 取得主体
- 独立行政法人国立美術館
- 制作年
- 1626–1627年
- 技法・材質
- 油彩・カンヴァス
- 寸法
- 201.5×135.5 cm
- 出典
- 独立行政法人国立美術館「令和元年度業務実績報告書」/国立西洋美術館
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- 作品自体は著作権切れ。館所蔵画像の利用条件を確認。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 文化庁、独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立文化財機構4館の令和元年度取得資料を横断し、政府調達・契約公示も追加確認。個別円建て取得額を一次資料で確定できた案件を順位化。国立美術館の令和元年度取得のうち、エルズワース・ケリー《斜めの黒いレリーフ》、ピピロッティ・リスト《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に》、《福禄封候図飾棚》は取得を確認済みだが個別円契約額を現行一次資料で確定できないため順位対象外。クリスチャン・ボルタンスキー《モニュメント》は政府調達集計に契約記録まで追跡したが、外貨表記を含む契約価格欄の解釈を円額として断定せず順位対象外とした。未確認額は推測しない。京都国立博物館《法華経巻第五(冊子)》1億円を反映済み。