第8位清拙正澄『重要文化財《清拙正澄墨蹟〈秉払謝語(蠟牋)/建武四年臘月旦〉》』
文化庁が1億5,000万円で購入した重要文化財。梅樹を摺った蠟牋に記された禅林の謝語で、文化庁資料は現存する謝語として最古の例とする。
公式画像・作品情報を見る ↗
なぜ国が買った?
「有名な禅僧の字」だからだけではありません。誰が、いつ、どんな役目を果たした誰へ送ったかが明確で、しかも同種文書として最古。中世禅寺の制度、儀礼、人間関係を具体的に復元できる基準資料です。重要文化財を国有化することで、書跡としての鑑賞と歴史研究の双方に安定して供することができます。
なぜこの価格?
取得額は1億5,000万円。重要文化財指定、1337年という明確な年代、清拙正澄という重要禅僧の墨蹟、同種の謝語として最古という希少性、梅樹を摺った蠟牋という支持体が価格を考える材料です。文字数や紙の大きさではなく、歴史上の一回的な出来事を証明する原本性が大きい作品です。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
建武4年(1337年)12月、梅樹を摺った蠟牋に17行で書かれた「謝語」です。清拙が南禅寺にいた時、住持に代わって秉払上堂を務めた中山清誾へ送った謝意の文書で、文化庁は現存する謝語として最古の例と説明しています。装飾された紙と禅林の実務文書が一体になった作品です。
ここを見る
まず字を読む前に紙を見てください。梅樹の文様を摺った蠟牋は、実務文書なのに視覚的な華やかさがあります。その上を走る17行の筆線を追うと、装飾的な支持体と禅僧の速度感ある書がぶつかります。「鑑賞する書」と「用事のための文書」が同居している点が面白いところです。
作者について
清拙正澄(1274–1339)は中国・元から来日した禅僧で、日本の禅林に大きな影響を与えました。禅僧の墨蹟は単なる書道作品ではなく、誰に何のために書いたかという寺院社会の具体的な行為を記録する文書でもあります。
基本データを見る
- 取得年度
- 2018年度
- 購入価格・取得額
- 1億5,000万円(¥150,000,000)
- 作者
- 清拙正澄
- 作品名
- 重要文化財《清拙正澄墨蹟〈秉払謝語(蠟牋)/建武四年臘月旦〉》
- 所蔵先
- 国(文化庁)
- 取得主体
- 文化庁
- 制作年
- 南北朝時代・建武4年(1337年)
- 技法・材質
- 蠟牋墨書
- 寸法
- 29.4 × 60.0 cm(1幅)
- 出典
- 文化庁「平成30年度 文化庁購入文化財一覧」
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- 文化庁「平成30年度 購入文化財の概要」掲載画像。利用条件・引用要件を確認し、掲載元にクレジット表記がある場合は原文どおり画像直下に記載。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 文化庁、独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立文化財機構4館の平成30年度取得資料に加え、政府調達の落札・契約情報を横断確認して順位化。アルベルト・ジャコメッティ《ヤナイハラⅠ》は政府調達で14,472,000米ドルの契約額が公表されているため、日本銀行「平成30年9月中において適用」の基準外国為替相場1米ドル=111円で1,606,392,000円に参考換算して順位化。《孔雀置物》ほか40点は41点一括5億3,784万円で、現行公開資料から個別配分額を確認できないため一括案件として明記。九州国立博物館の政府調達《鉢形土器》ほか79件(1億9,134万800円)は、同館の平成30年度購入文化財一覧に各資料の個別購入額が公表されているため、契約総額を1作品としてランキングする旧処理を撤回。これに伴い第10位へ横山大観《白衣観音》1億1,124万円を反映。未確認額は推測しない。