第6位作者不詳『如来坐像』
九州国立博物館が2億5,272万円で取得した、像高137cmの半丈六級の如来坐像。前面部に当初材をよく残し、12世紀の平安後期木彫仏を考える重要作例。
公式画像・作品情報を見る ↗
なぜ国が買った?
「完全無傷の仏像だから」買ったわけではありません。むしろ修理・補配の履歴を含めても、前面の主要部に12世紀の造形をよく残し、半丈六という大きさで平安後期彫刻の様式を実物研究できる点が重要です。国立博物館では、完成品として眺めるだけでなく、構造・修理史・様式変化を比較研究する資料として活用できます。
なぜこの価格?
取得額は2億5,272万円。大型の平安木彫であること、当初材を主要部に残すこと、12世紀の様式比較に使えることが高額評価を考える材料です。後補部分が多いことはきちんと見るべきですが、「後補があるから価値がない」とも言えません。1000年近い仏像では、どこが当初材で何が後世の修理かを読めること自体が研究価値になります。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
像高137cmの半丈六級の如来坐像です。九州国立博物館の公式解説によれば、両手首先と背面の大半は近代以降の後補で、後頭部と両脚部も同じ12世紀の別作例を矧ぎ付けています。一方、頭・体幹の前面部には当初部分をよく残し、大きな頭、細長い目、充実した胸、流れる衣文に平安後期の特徴が確認できます。
ここを見る
まず顔の穏やかな表情と胸の厚みを見てください。次に衣の襞へ移ると、定朝様の浅く平行な衣文より隆起が強く、自由に流れる部分があります。そして公式解説が示す後補箇所も意識すると、「一体の仏像が千年近く生き延びる間に、どこが守られ、どこが作り替えられたか」という別の見方ができます。
作者・制作背景について
作者名は伝わっていません。制作は平安時代後期の12世紀と考えられます。定朝が確立した穏やかな和様彫刻が各地へ展開していく時代で、本像はその規範を受けつつ、衣文などに異なる作風を示す点が研究上重要です。
基本データを見る
- 取得年度
- 2018年度
- 購入価格・取得額
- 2億5,272万円(¥252,720,000)
- 作者
- 作者不詳
- 作品名
- 如来坐像
- 所蔵先
- 九州国立博物館
- 取得主体
- 独立行政法人国立文化財機構
- 制作年
- 平安時代・12世紀
- 技法・材質
- 木造、漆箔(現状素地)
- 寸法
- 像高137.0 cm/髪際高117.0 cm/膝張112.5 cm
- 出典
- 政府調達「落札・契約情報」/九州国立博物館
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- 九州国立博物館「画像のご利用について」を確認。掲載元に撮影・提供等のクレジットがある場合は原文どおり画像直下に記載。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 文化庁、独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立文化財機構4館の平成30年度取得資料に加え、政府調達の落札・契約情報を横断確認して順位化。アルベルト・ジャコメッティ《ヤナイハラⅠ》は政府調達で14,472,000米ドルの契約額が公表されているため、日本銀行「平成30年9月中において適用」の基準外国為替相場1米ドル=111円で1,606,392,000円に参考換算して順位化。《孔雀置物》ほか40点は41点一括5億3,784万円で、現行公開資料から個別配分額を確認できないため一括案件として明記。九州国立博物館の政府調達《鉢形土器》ほか79件(1億9,134万800円)は、同館の平成30年度購入文化財一覧に各資料の個別購入額が公表されているため、契約総額を1作品としてランキングする旧処理を撤回。これに伴い第10位へ横山大観《白衣観音》1億1,124万円を反映。未確認額は推測しない。