第1位アルベルト・ジャコメッティ『ヤナイハラⅠ』
政府調達の原契約額は14,472,000米ドル。日本銀行の平成30年9月適用基準外国為替相場(1米ドル=111円)で1,606,392,000円に参考換算して順位化。矢内原伊作をモデルにしたジャコメッティ晩年の代表的な肖像彫刻。
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なぜ国が買った?
国立国際美術館はすでにジャコメッティの油彩《男》(1956年)を所蔵していました。平成30年度の公式報告は、《ヤナイハラⅠ》を加えることで、絵画と彫刻という異なる媒体におけるジャコメッティの表現を同じコレクションで示せるようになった、と取得意義を明記しています。しかもモデルは日本人の矢内原伊作。世界的な20世紀美術と日本の知的交流が一本につながる作品でもあります。
なぜこの価格?
政府調達の原契約額は14,472,000米ドル。ここでは日本銀行の平成30年9月適用基準外国為替相場1米ドル=111円で、参考値1,606,392,000円として順位化しています。高額なのはブロンズという材料の値段ではありません。ジャコメッティという国際美術市場の最重要作家、晩年の代表的肖像、6点という限られたエディション、矢内原という重要モデル、来歴が揃った「代替しにくい美術館級作品」であることが価格の核です。
※公的資料が鑑定・評価の内訳を公表していない場合、本節は希少性、代表性、来歴、規模、エディション等の公表情報から価格を考える材料を整理したものです。
作品について
《ヤナイハラⅠ》は1960–61年に制作されたブロンズの胸像で、エディションは6点中の5番。高さ43.2cmと巨大ではありませんが、顔や肩の表面には粘土を何度も盛り、削り、押し戻したような痕跡が残り、像全体が「完成品」というより観察の時間を固めたもののように見えます。国立美術館の公式報告は、これをジャコメッティ晩年の代表作と位置づけています。
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まず真正面から目と鼻の周囲を見てください。写真的に滑らかな顔ではなく、表面が崩れそうなほど削られています。それでも少し離れると、矢内原の視線と頭部だけが強烈に立ち上がる。肩や胸の量感との落差、表面に残る指跡のような凹凸を見ると、ジャコメッティが「似顔」ではなく、人がそこに存在して見える瞬間そのものを追ったことが分かります。
作者について
アルベルト・ジャコメッティ(1901–1966)は、20世紀彫刻を代表する作家です。戦後の細く引き伸ばされた人物像で有名ですが、肖像制作ではモデルを何度も座らせ、目の前の人間が「どう見えるか」を執拗に作り直しました。矢内原伊作は日本の哲学研究者で、1950年代後半からジャコメッティの重要なモデルの一人となりました。
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- 取得年度
- 2018年度
- 購入価格・取得額
- 16億639万2,000円(¥1,606,392,000)
- 作者
- アルベルト・ジャコメッティ
- 作品名
- ヤナイハラⅠ
- 所蔵先
- 国立国際美術館
- 取得主体
- 独立行政法人国立美術館
- 制作年
- 1960–61年
- 技法・材質
- ブロンズ
- 寸法
- 43.2 × 29.2 × 12.7 cm(ed. 5/6)
- 出典
- 政府調達「落札・契約情報」/国立国際美術館
購入一次資料 ↗ - 作品画像の出典
- 画像掲載元 ↗
- 画像利用条件
- 国立国際美術館の画像利用条件を確認。公式掲載に撮影者・提供者等のクレジットがある場合は、その表記どおり画像直下に記載。
収録済み資料に基づく年度別暫定ランキング。対象機関は年度間で同一ではありません。全国の全自治体を悉皆調査したランキングではありません。 文化庁、独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立文化財機構4館の平成30年度取得資料に加え、政府調達の落札・契約情報を横断確認して順位化。アルベルト・ジャコメッティ《ヤナイハラⅠ》は政府調達で14,472,000米ドルの契約額が公表されているため、日本銀行「平成30年9月中において適用」の基準外国為替相場1米ドル=111円で1,606,392,000円に参考換算して順位化。《孔雀置物》ほか40点は41点一括5億3,784万円で、現行公開資料から個別配分額を確認できないため一括案件として明記。九州国立博物館の政府調達《鉢形土器》ほか79件(1億9,134万800円)は、同館の平成30年度購入文化財一覧に各資料の個別購入額が公表されているため、契約総額を1作品としてランキングする旧処理を撤回。これに伴い第10位へ横山大観《白衣観音》1億1,124万円を反映。未確認額は推測しない。